Sep 23, 2011
bonheur
眠れない夜なんてほとんどないんだけど、
それでも珍しく眠れない夜、お気に入りの画集を開く。
最近は文字ばかり追いかけていたから、
目に飛び込んでくる線や色が眩しくて、優しい。
朝、もう一度画集を開く。
まだ仄暗い光の中で見るそれは、
彩度も明度も一段と低くて、
南桂子という銅版画の作家にぴったりの光に思える。
ちょうどこの本が刊行された頃、
私はパリの美術館をせっせと巡っていて、
美術書を置く本屋には、奈良美智や村上隆と並んで平積みにされていた。
詩集のような本。
実際、一編収録されている谷川俊太郎「銅のフェティシズム」も素晴らしくて、
見終わる頃には、小ぶりで美しい短編集を読み終えたような気持ちがしてくるのだ。
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