Dec 8, 2016

「ふしぎな木の実の料理法」




友達の家の本棚にささったこの本の背表紙を見た時、
「あ〜!これ!これだ!」と心の中で歓声をあげました。

「不思議な家の間取り図の絵がたくさん載っていて
 ちくちくした頭の子が出てくる童話…
 あれ好きだったんだよな〜なんだっけなぁ。実家にまだあるかなぁ…」
とここ数ヶ月の間ぼんやり考えていたまさにその本を、友達の家で見つけたのでした。


その後諸用で奈良の実家に帰ることがあり、本棚を探してみたら3分で見つかりました。
茶色く焼けたこの本はいったい何年ぶりに本棚から出され、ページを開かれたんだろう?
本という物が持つ数奇な運命に思いを馳せながら、久しぶりに読み始めました。


登場人物が誰もみな素晴らしく魅力的で愛らしく、
そして例の間取り図は精巧で奇妙、ウキウキしてつい顔がにやけます。
内気な主人公の変化していく様子にも心を打たれて、
本当に素晴らしいお話だった、まるではじめて読んだような感動。
「まるで?実ははじめてだったんじゃない?」


最後まで読んで気付いたんですけど、たぶん9歳の私はこの本を途中で投げ出してしまったんです。そして挿絵だけを眺めていたのかもしれない。
はっきり覚えていないけど、そのような気がします。
実家でこの本を発見した時にふとよぎった、微かにほろ苦い感覚にも説明がつきます。
たぶん当時の私にはこれを独りで読み切るだけの読解力がなく
こんなに挿絵は大好きなのに、それなのに…という苦い思いがあったのでは。
自分で選んで買ってもらったのに(しかもハードカバー!)最後まで読み切らなかった罪悪感もあったはず。


「続きを読んだよ。すごく良かったよ。
 この本を選んでくれてありがとうね。」
と小さい私に言ってあげたいなと思うのでした。







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