Jan 25, 2017

「そのぬくもりはきえない」岩瀬成子


「そのぬくもりはきえない」
岩瀬成子さん


4年生の波ちゃんが、一人暮らしで高齢のおばあさんの犬の散歩を引き受けて、そこから起こる出会いや変化。

この本を読んで、私は母親でもあり娘でもあることを改めて実感した。
波ちゃんの心のモヤモヤに私も一緒に苦しくなり、
お母さんの言い様ややり方にも「確かにそうなっちゃうよなぁ…」と自分を省みた。

波ちゃんくらいの年頃の女の子が、このお話を読んだらどう思うんだろう。
共感して、私も変わりたいと思うだろうか。
でも現実にはそんな風には変わらない環境や親や自分にガックリするだろうか。
私だったらどうしたかな。うーん。


懐かしい、幼い頃の閉塞感や、
道ばたの匂いや、女の子同士の面倒なあれこれ、
いろんなことが目の前にありありと浮かび上がった。

「匂い」がカギだな、と思った。
素晴らしいお話を読むと、その世界の匂いがする。


Jan 23, 2017

2017年

2017年!
と言うにはもう1月も下旬です。
もうすっかりどっぷり2017年です。

今年は、
個展はお休みします。
絵本を楽しく作ります。
健康をもっと意識します。(願わくばダイエット)
お家に人を招きます。
お庭や植物について勉強して育てます。
本を読みます。映画を見ます。
家族旅行をしっかり計画します。



2016年までは必死!いっぱいいっぱい!頑張ってる!って感じだったし
そうしないことには自分自身を認めてあげられませんでした。
頑張ってないと、なにかに向かってひた走っていないと、
誰も私のことなんて見てくれない、とすら本気で思っていたのです。


それに、子どもが生まれてからしばらくは
本も読めないし、映画も見れませんでした。
時間がなかった訳じゃなくて、
そんな暇があったら何かやらなきゃ、って。
時間がもったいないもったいない!忙しい忙しい!って、
「モモ」の時間泥棒に盗まれた大人と同じです。



が、これは年齢のせいなのでしょうか、それとも愛情でしょうか、
2016年じっくり1年間かけて
ようやくそんな状態から心が解放されました。ひゃっほー
頑張ってない自分もオッケーって思えるようになりました。

ということではじめに書いた通り、
今年はあらゆる意味で遊ぼうと思っています。
どうぞよろしくお願いします。





Dec 10, 2016

藤田嗣治展

どうしても見ておきたくて、
娘たちを送り出してすぐに府中市美術館、藤田嗣治展に駆け込みました。


乳白色の肌の女性の、美しくて洒脱な印象が強かったのですが、
実物を画家の一生をなぞりながら見ると全然、ただ美しいだけじゃない。
一枚一枚の、その絵を描いていた時の藤田の気持ちや気分が、
映画のように浮かび上がって、そして打ちのめされました。


彼が渡仏後、日本との関わり、戦争との関わりで受けた傷を思いました。
日本を去る時に放った言葉というのも痛々しかった。
それは派閥に別れて争ったり、目立つ者やマイノリティ、異端を貶めたりする人たちに対する言葉だったと思う。
そして「今の日本だってなんにも変わらないじゃないか」ということに気付き、ずーんと重い気持ちを引きずりながら、
彼が日本国籍を捨てた時や、礼拝堂建立に邁進した時の気持ちを想像したのでした。
藤田にパリという場所があって良かった。





実物の絵を見るまでは小さな図案しか見たことがなかったので、
藤田の絵は色の印象が強かったのです。
が!すごい線だった!
1センチくらいまで近付いて見たかったですが、そんな観客の気持ちを想定してしっかり停止線がありました。
そして素描が「ひえ〜!」と叫んじゃうような、やはり迷いなく美しい線!
静物画のお洒落さにも痺れた。
戦争画はほとんど宗教画のように見えた。宗教と違うのはそれが事実であるってことだ。(キリスト教の宗教画って本当なら目を覆いたくなるような場面もいっぱいあるのに、”宗教だ”と思うから直視できるんですね)

そして、完成されたように思えた後に、ひどく迷う、
あれこれ試してみるところに人間くささを感じた。
猪熊源一郎展を見に行った時も思ったこと。






Dec 8, 2016

「ふしぎな木の実の料理法」




友達の家の本棚にささったこの本の背表紙を見た時、
「あ〜!これ!これだ!」と心の中で歓声をあげました。

「不思議な家の間取り図の絵がたくさん載っていて
 ちくちくした頭の子が出てくる童話…
 あれ好きだったんだよな〜なんだっけなぁ。実家にまだあるかなぁ…」
とここ数ヶ月の間ぼんやり考えていたまさにその本を、友達の家で見つけたのでした。


その後諸用で奈良の実家に帰ることがあり、本棚を探してみたら3分で見つかりました。
茶色く焼けたこの本はいったい何年ぶりに本棚から出され、ページを開かれたんだろう?
本という物が持つ数奇な運命に思いを馳せながら、久しぶりに読み始めました。


登場人物が誰もみな素晴らしく魅力的で愛らしく、
そして例の間取り図は精巧で奇妙、ウキウキしてつい顔がにやけます。
内気な主人公の変化していく様子にも心を打たれて、
本当に素晴らしいお話だった、まるではじめて読んだような感動。
「まるで?実ははじめてだったんじゃない?」


最後まで読んで気付いたんですけど、たぶん9歳の私はこの本を途中で投げ出してしまったんです。そして挿絵だけを眺めていたのかもしれない。
はっきり覚えていないけど、そのような気がします。
実家でこの本を発見した時にふとよぎった、微かにほろ苦い感覚にも説明がつきます。
たぶん当時の私にはこれを独りで読み切るだけの読解力がなく
こんなに挿絵は大好きなのに、それなのに…という苦い思いがあったのでは。
自分で選んで買ってもらったのに(しかもハードカバー!)最後まで読み切らなかった罪悪感もあったはず。


「続きを読んだよ。すごく良かったよ。
 この本を選んでくれてありがとうね。」
と小さい私に言ってあげたいなと思うのでした。







Dec 6, 2016

「そういう時だ」



「そういう時だ」

と、言ってしまえば簡単なのだけど。
引越しが落ち着いて個展が終わってすっかり気が抜けてしまいました。

いろいろなところで、見たいものや偶然見られる物を見て、
それは展覧会だけじゃなくて、
本やテレビや自然のあれこれだったりもするんだけど、
とにかくいろいろ見て、
人に会えれば会って話して、
自分の身の内にあるホカホカしたものを暖めようかな、と。
今はしょぼしょぼのお線香みたいになってますが
いずれキャンプファイヤー!みたいになるでしょう。


「今の私はスポンジやな〜」とふと思い、
「またいいように言って。ただ怠けてるだけやろ」と自分で突っ込み、
「インプットインプット〜」とまた思い、
「そういうインとかアウトとかすぐ決めつけるところがダメ」とまた突っ込み、

頭の中にたくさんの自分がいて会議をしているような毎日。




Nov 29, 2016

終わりました。そしてまだ続きます。





うめぞのCAFE&GALLERYでの展示が終了しました。
お越し下さった方々、気にかけて下さった方、
そしてうめぞのCAFE&GALLERYスタッフさま、西川さん、
本当にありがとうございました。

約1年程前に個展にお話をいただいて
その時にパッと思い浮かんだのが
「和菓子の質感を描いてみたいな〜」でした。

それから他のお仕事や展示で水彩絵具を使い続けていくうちに、
ぼんやり抽象的なと綺麗な絵を描くよりも
具体的な物を自分の世界観で描きたいぞ、と思うようになりました。

「執着して描いているのが分かって良かった」
という風に尊敬する方に言っていただけてとても嬉しかったです。
和菓子の写真を穴があく程見つめて(たまには実物も)
質感を再現することにこだわりました。それが面白くて仕方なかった。
(写真は2次元の現実、とても良い資料でした。)

また、
少しずつ少しずつ和菓子の国、和菓子アイランドを形成していくのは
本当に楽しいものでした、地図や図鑑を編集していくような…

まだこれはやっと始まったばかりだなという気がしています。
いつか描き続けたものが膨大な資料の集まりになって
「私、本当に行ってきたんです」
って言えるようになればいいなと思っています。

Oct 26, 2016

「御菓子の国」at うめぞの CAFE&GALLERY




個展のお知らせ

「御菓子の国」
at うめぞの CAFE & GALLERY
2016/11/09(水)〜11/23(火)
11:030-18:30



京都での個展です。学生時代は京都の美大に通っていましたが、
京都での個展はどうやら初めてのようです!

昨年に個展のお話を戴いた瞬間から
お菓子、しかも美しい和菓子の絵を描くんだと心に決めていました。

展示期間中は絵本の形にはしませんが、
和製ヘンゼルとグレーテルのような世界を描ければいいなと思っています。
在廊日は決まり次第お知らせします。

どうぞよろしくお願いいたします!